認知症の予防

有酸素運動、筋トレ、頭の体操を組み合わせた運動をまずは1日30分以上、週3回行うようにしましょう。

適度な運動の継続

認知症は予防できるの?

現代の医学では、認知症の人を以前と同じようには治すことができません。だからこそ、予防が大切です。
認知症の予防には、認知症にならないようにする「1次予防」、認知症を早期に発見・治療して重症化を防ぐ「2次予防」、進行した後にさらなる悪化を防ぐ「3次予防」の3段階あります。実際には、1次予防、2次予防が中心になります。

かつて認知症は、1次予防も2次予防も不可能といわれていましたが、最近の研究では、リスク因子を軽減・改善することで、予防の効果が感じられると報告されています。

ランセット委員会の報告より

国際的な認知症の専門家からなるランセット委員会によれば、認知症には、「教育受ける機会の減少」「高血圧」「聴覚障害」「喫煙」「肥満」「うつ病」「運動不足」「糖尿病」「社会的孤立」「過度の飲酒」「頭部外傷」「大気汚染」という12個のリスク因子があり、認知症の約40%は、これらを改善することで、予防したり進行を抑えたりすることができるとされています。
(THE LANCET 396巻、10248号、P413-446、2020年8月8日)

運動習慣は認知症予防に有効です

認知症を予防する生活習慣のひとつに「運動習慣」があります。これまでの研究では、定期的な運動を続けることで、認知症の発症を予防できることが明らかになっています。また、定期的な運動が認知症の進行を緩やかにする可能性も示されています。運動が認知症を予防する主な理由には、次の2つがあると考えられています。

○脳の機能に影響を与える

運動をすることで、脳の血流量が増えたり、脳内で新しい血管ができたりして、脳の機能が高まると考えられています。また、運動には「アミロイドβの沈着を抑制する」「記憶をつかさどる海馬の容積を増やす」などの効果が期待でき、これらが認知症の予防に関連しているのではないかと考えられます。
※アルツハイマー型認知症の原因と考えられているタンパク質。

○生活習慣病が予防できる

継続的な運動は、動脈硬化や糖尿病、高血圧、脂質異常症をはじめとした生活習慣病の予防に有効です。生活習慣病は、脳卒中による血管性認知症はもちろんのこと、アルツハイマー型認知症の発症や進行とも関係があるといわれています。運動によって生活習慣病を予防することで、こうしたリスクを減らすことが可能です。

認知症予防に有効な運動とは?

認知症を予防するには、1日30分以上の運動を、週3回以上行うことがよいといわれています。1週間の合計運動時間が150分以上になるようにするとさらに効果的です。
運動内容としてはウォーキング、早歩きやジョギングなどの有酸素運動が基本です。そこに筋力トレーニングを組み合わせてもよいでしょう。

認知症を予防するには、運動するだけでなく、脳の認知機能を刺激することも大切です。運動にゲーム性をもたせるなど工夫をすると、運動が楽しくなり長続きするのではないでしょうか。
認知症予防に効果のある運動としては「コグニサイズ」がよく知られています。コグニサイズというのは、「ウォーキングしながら数を数える」だったり「踏み台昇降をしながらしりとりをする」といったように、「軽く息がはずむ程度の運動」と「計算やしりとりなどの認知課題」を同時に行う運動方法で、国立長寿医療研究センターによって開発されました。コグニサイズのパンフレットでは、具体的な運動の仕方が示されているので、ぜひ参考にしてみてください。

○認知症予防に向けた運動コグニサイズ(国立長寿医療研究センターWebサイト内)

https://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/pamph-koguni.html 

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 准教授
   小川 純人 先生

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