認知症の検査

認知機能検査

認知機能の状態を確かめる検査です。
質問や指示にきちんと対応できるかを評価します。

認知症はどうやって診断するの?

認知症の診断には、大きく二つの段階があります。一つは認知症かどうかを判断する段階、もう一つは認知症のタイプや原因となっている病気を見極める段階です。

認知症かどうかを判断するには、一般的に問診と認知機能検査が行われます。
問診では、家族構成や生活環境、今までにかかった病気、現在飲んでいる薬などの基本情報とともに「どのような症状があるか」「症状にはいつ気づいたか」「日常生活にどんな支障があるか」「家族はなにに困っているか」「これからどうしていきたいか」などが確認されます。

認知症のタイプや原因は、身体所見(体の状態を確認すること)や画像検査、血液検査、脳髄液検査などを組み合わせて調べます。身体所見では、主に、血圧、呼吸音や心音、発語の状態、聴力、手足の麻痺やふるえ、歩行状態などが確認されます。

認知機能検査ってなに?

認知機能検査というのは、名前の通り「脳の認知機能を確かめる検査」です。現在、国内外には、さまざまな種類の認知機能検査があり、検査の目的やかかる時間、検査を担当する人の職種・状況などに応じて使い分けられています。
ここでは、日本で最も使われている二つの検査をご紹介します。ほかにも、「地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート(DASC-21)」や、軽度認知障害(MCI)の判別に有効な「MoCa-J」などがあります。

○MMSE(ミニメンタルステート検査)

MMSEは1975年に開発された簡易認知機能検査で、全般的な認知機能を評価するのに適しています。検査では、11項目の質問や指示に対応してもらい、その結果を30点満点で採点されます。得点が低いほど認知機能が低下しているとされ、23点以下の場合は認知症が疑われます。

具体的には、「今日は何年何月何日ですか?」といった質問に答えてもらうことで、時間に関する認識をみたり、短時間で3つの言葉を覚えてもらいその後繰り返してもらうことで、言葉への記憶力をみたり、お手本に従って図形を描いてもらうことで、空間認識能力をみたりします。

○改訂長谷川式簡易知能評価スケール

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは1974年に開発され、1991年に改訂された認知機能検査です。全般的な認知機能を評価するのに適した検査で、日本国内でよく使われています。検査項目はMMSEより2つ少ない9項目です。総得点は30点で、20点以下だと認知症が疑われます。MMSEとは違い、すべて口頭のやりとりだけで実施できるという特徴があります。

具体的には、自分の年齢を答えてもらったり、検査当日の年月日を答えてもらったり、短時間で3つの言葉を覚えてもらい復唱してもらったり、引き算をくり返し行ってもらったりします。これらから時間や場所の認識、記憶力、計算能力などを確認します。

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 准教授
   小川 純人 先生

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