認知症の検査

血液検査

認知症の原因になる内科的な病気の有無を調べるために行います。

血液検査の意味

認知症のなかには、感染症や免疫の病気、甲状腺の病気、栄養素の不足(欠乏症)など、内科的な病気によって引き起こされるものがあります。認知症の診断における血液検査では、そのような内科的な病気があるかどうかを調べます。

一般的には、血液中に含まれる、赤血球や白血球、血小板、ヘモグロビンの量を調べる検査を行います。
血液中のナトリウム(Na)やカリウム(K)、カルシウム(Ca)、クロール(Cl)などの電解質を調べることで、認知機能に影響を及ぼす可能性がある低ナトリウム血症などの病気と見分けることができます。

血糖値の測定は、まれに低血糖が認知症のような症状を引き起こすことがあるため必要です。また、認知症のリスク要因である糖尿病を調べるためにも血糖値の測定は重要です。

甲状腺の働きが悪くなる甲状腺機能低下症は、認知症の原因のひとつです。甲状腺の働きを調べるためTSH、FT3、FT4という甲状腺ホルモンの量を測定します。
ビタミンB群の不足も、認知機能に影響するといわれています。そのなかでも、ビタミンB12と葉酸の数値を調べるのが一般的です。

ほかにも、認知症が疑われる人の状態に合わせて、「尿素窒素やクレアチニン(腎機能検査)」「AST・ALT・γ-GTP(肝機能検査)」「梅毒」「HIV」「違法薬物」などの値を測定することがあります。

MCIスクリーニング検査

認知症を診断するための血液検査とは違いますが、最近たくさんの医療機関で行われるようになってきたのが「MCIスクリーニング検査」です。この検査は、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)のリスクを調べる血液検査で、アルツハイマー型認知症を対象にしています。
アルツハイマー型認知症の原因は、脳内にアミロイドβという異常なタンパク質が蓄積することだといわれています。MCIスクリーニング検査では、アミロイドβに関連する3つのタンパク質(アポリポタンパク質・補体タンパク質、トランスサイレチン)を調べることで、MCIのリスクを判定します。
ただし、現在は保険適用ではないので、全額自己負担で受けることになります。(2021年10月)

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 准教授
   小川 純人 先生

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