認知症の予防

社会参加は認知症予防に有効です。楽しみながらできる方法をみつけましょう。

人や社会とのつながりをもつ

家のなかに引きこもらないようにしましょう

高齢になり社会や家庭での役割から少し離れると、人と接する機会が減ったり限定されたりすることがあります。こうした「人や社会とのつながりの希薄化」は、認知症になるリスクを高めたり、認知症の進行にかかわったりすることが知られています。認知症を予防する意味でも毎日を楽しく生きるためにも、家族はもちろん、地域活動やサークルなどに積極的に参加し、人とコミュニケーションすることが大切です。

人や社会とのつながりと認知症予防との関係を示す研究は、数多く報告されています。そのひとつが2017年に発表された国立長寿医療研究センターの研究です。この研究では、65歳以上の13,984人(要介護者ではない)を対象に、8つの社会関係と認知症発症リスクとの関係が調べられました。調査の対象になった社会関係は以下となります。

□同居家族と支援のやりとりがあるか。
□別居している子どもや親戚と支援のやりとりがあるか。
□友人や知人と支援のやりとりがあるか。
□配偶者はいるか。
□別居している子どもや親戚との交流はあるか。
□友人や隣人との交流はあるか。
□地域の何らかのグループに参加しているか。
□就労しているか。

約9.4年にわたる追跡調査の結果、「同居家族と支援のやりとりがある」「配偶者がいる」「友人との交流がある」「地域のなんらかのグループ活動に参加している」「就労している」のどれかに当てはまる人は認知症になるリスクが低くなるという結果が出ました。さらに、該当する項目が0〜1個の場合に比べて、3個で25%、4個で35%、5個では46%、認知症の発症リスクが低下しており、人や社会とのかかわりが多様な人ほど、認知症になるリスクが低いという結果が得られました。
また、北海道大雪地区の70〜74歳を対象とした別の研究では、参加している社会活動の種類が多いほど認知症になるリスクが低いことに加え、社会活動が盛んな地域に住む高齢者ほど認知症になりくにいことが示されています。

「楽しみながらやること」が大切です

人や社会とのつながりが認知症を予防する理由には、大きく2つあると考えられます。

○脳が活性化する

人や社会とかかわるということは、それだけ脳を使うということです。会話をするためには「言葉を理解する」「相手の気持ちを想像する」「適切な言葉を選んで会話をする」といった脳の働きが必要になります。
また、約束をしたり、計画をたてたり、頼まれごとを実行したりするのにもたくさん頭を使います。
さらに、自分の知らない知識に触れることで知的好奇心が刺激され、脳が活性化します。

○ストレス解消や生活習慣病の予防につながる

ストレスやうつ病、生活習慣病は認知症のリスクを高めるといわれています。人との良好なコミュニケーションはストレスの軽減や抑うつ傾向の改善につながり、社会参加によって活動量が増えれば生活習慣病になるリスクを低くすることができます。
しかし、いくら「人や社会とのつながり」が重要だからといって、むやみやたらに人とかかわればよいというわけではありません。人間関係は諸刃の剣で、場合によっては大きなストレスになることもあります。コミュニケーションの相手も、参加する社会活動も、自分にとって「楽しめるものであること」が大切です。

趣味をもってみませんか?

社会活動と聞くと、地域の行事やボランティアを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、もちろん趣味の友人との交流でも大丈夫です。一般的に趣味とよばれるものには、頭を使ったり、体を動かしたりするものが多く、これらの趣味をもつことは認知症の予防に効果があるといわれています。お住いの地域に趣味のサークルがあるようなら、勇気を出して一度見学などをしてみてもよいかもしれません。

○主に頭を使う趣味

ゲーム、囲碁・将棋、麻雀、映画・演劇鑑賞、パズル、カラオケ、合唱・楽器演奏、英会話、俳句など

○主に体を使う趣味

テニス、卓球、山歩き、ゴルフ、サイクリング、水泳、ダンス、ボーリング、ヨガなど

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 准教授
   小川 純人 先生

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