認知症のサイン

「今までと何か違う」と感じたら、迷わず医療機関を受診することが大切です。

周囲の人が気づくポイント

違和感を見過ごさないようにしましょう

認知症は、早く発見して適切な治療を受けることで、ある程度進行を抑えることができる病気です。その反面、認知症は見逃されてしまうケースが多いのも事実です。
その理由の一つに「認めたくない」という気持ちがあるのかもしれません。これまでできていた仕事がうまくこなせなくなったり、知人の名前が出てこなくなったり……。なんとなく「おかしいな」と思いながらも、「まさか自分が」と認めたくない気持ちが働き、違和感にふたをしてしまうのです。
これは家族の場合でも同じです。どこか今までとの違いを感じながらも、「しっかりしているところもあるから大丈夫」とか「多少のもの忘れは年齢相応」などと自分を納得させてしまうことがあります。
認知症の発見は、ちょっとした違和感に気づくところから始まります。軽く考えて見過ごさないようにすることが大切です。

こんなこと、ありませんか?

何かしらの違和感に気づいたとしても、本人がその事実を受け入れ、受診などの次の行動に移るのは簡単ではありません。やはり、家族を中心とした周りの人が、認知症であることに気づいてあげることが大切です。認知症の症状はタイプによってさまざまですが、自治体や企業が行ったいくつかのアンケートでは、実際に家族が気づいたケースとして、次のようなものが挙げられています。
これらとご家族や友人の行動を照らし合わせて「認知症かも?」と思われたら、医療機関を受診し、医師に診てもらうようにしましょう。

○同じことを何度もいったり、聞いたりするようになった。
○忘れものや置き忘れなどが多くなった。
○人やものの名前が出てこなくなった。
○食事をしたことを忘れるようになった。
○お金やものが盗まれたと言うようになった。
○時間や日にちがわからなくなった。
○家事や仕事が以前のようにできなくなった。
○電化製品やクレジットカードなどの使い方がわからなくなった。
○物事への興味や関心が失われ、ふさぎこむようになった。

このほかにも「怒りっぽくなった」であるとか「慣れた道で迷うようになった」など、さまざまな変化があるようです。ただし、こうした行動がみられるからといって、必ずしも認知症というわけでもありません。

認知症の症状(中核症状と行動・認知症状)

認知症の症状は大きく、中核症状と行動・認知症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の二つに分けられます。
中核症状というのは脳の障害によって直接起きるもので、記憶力が低下する「記憶障害」、日付や居場所がわからなくなる「見当識障害」、物事が計画的に実行できなくなる「遂行機能障害」、言葉を理解したりうまく話せなくなる「言語障害」、ものなどの位置関係がわからなくなる「視空間認知障害」などがあります。

これに対し、行動・認知症状は、中核症状と環境や心理状態が合わさって起きる症状で、周辺症状とも呼ばれます。「不安やイライラ」「うつ状態」「暴力・暴言」「徘徊」「幻覚・妄想」「もの盗られ妄想や被害妄想」「自発性や意欲の低下」「自分や周りへの関心の欠如」などさまざまなものがあります。

認知症の種類によって現れる症状に多少の違いはありますが、中核症状は、認知症の人のほぼすべてにみられます。これに対し、環境や性格に左右される行動・認知症状は、個人差が大きいといわれています。家族の接し方や、周辺の環境を変えるだけで、改善する場合もあります。

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 准教授
   小川 純人 先生

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