認知症の種類

レビー小体型認知症

認知症にはいくつかの種類があります。
レビー小体型認知症は、レビー小体というタンパク質のかたまりが大脳皮質に蓄積することで発症します。
幻覚やパーキンソン症状、認知機能の変動が特徴です。

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症と同じように脳の神経細胞がダメージを受けて少なくなる病気です。神経細胞の減少によって認知機能が低下するところは、アルツハイマー型認知症と同じですが、原因となる物質やダメージを受ける脳の部位が違うため、現れる症状には違いがあります。
高齢者に多い病気ですが、30〜40歳代の人にもまれに発症します。女性よりも男性に発症しやすいという報告もあります。

レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」というタンパク質のかたまりができ、それによって神経細胞が破壊される病気です。脳にレビー小体ができる病気には、レビー小体型認知症のほかに「パーキンソン病」があります。レビー小体型認知症とパーキンソン病は、非常に近い性格をもつ病気で専門家でも判別が難しいことがあります。
※パーキンソン病:神経難病の1種。特徴的な症状に手足にふるえやこわばり、動きが遅くなる、転びやすくなるなどがあります。

レビー小体型認知症の症状

アルツハイマー型認知症のような「もの忘れ」「言葉が理解できなくなる」といった症状よりも、「幻覚や妄想」「パーキンソン病に似た運動障害」「自律神経障害」などが中心になります。

○幻覚

幻覚は、レビー小体型認知症の代表的な症状です。なかでも幻視(現実にはないものがみえること)は多く、レビー小体型認知症の人の約半数にみられる症状といわれています。幻視には「家のなかにワンピース姿の知らない女性がいる」「ネズミが部屋を走り回っている」というようにはっきりとしたものが繰り返し起きるのが特徴です。幻視は日中よりも夜間に多く出現します。

○パーキンソン症状

レビー小体型認知症とパーキンソン病は、どちらも脳にレビー小体ができる病気で、非常に近い性格をもっています。そのためパーキンソン病のような症状が現れます。「手足がふるえる」「筋肉がこわばる」「動きが緩慢になる」「バランスや姿勢を保てなくなり転びやすくなる」といった症状が代表的です。

○自律神経障害

レビー小体型認知症では、自律神経が乱れることで、慢性便秘、頻尿・失禁、立ちくらみ、多汗などの身体症状がでることがあります。

○睡眠障害

レビー小体型認知症になると、浅い眠りのときに叫んだり暴れたりすることがあります。これをレム期睡眠行動異常症といいます。レム期睡眠行動異常症では、「何かから必死で逃げている」「崖から落ちる」といった怖い夢や、怒っている夢などをみたときに発生しやすいといわれています。

○認知機能障害

記憶障害は比較的軽いですが、注意力の低下や遂行能力(目的に向けて計画を立て実行する能力)の低下がみられます。これらの症状は、毎日同じように現れるのではなく、日によって時間帯によって、強くなったり弱くなったりするのが特徴的です。レビー小体型認知症は「注意力が低下してボーッとしているとき」と「頭がしっかり働いているとき」を繰り返しながら徐々に進行する病気です。記憶障害が徐々に強くなるアルツハイマー型認知症とは違って「正常なとき」があるので、周囲の人が認知症と気づかないケースもあります。

○その他

ほかにも、うつ・妄想などの精神症状や嗅覚障害を発症することもあります。

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 教授
   小川 純人 先生

この記事は2021年11月現在の情報となります。

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