認知症の種類
その他
認知症にはいくつかの種類があります。
三大認知症以外にも、いろいろな認知症があります。
前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう)
前頭側頭型認知症は、難病である前頭側頭葉変性症のひとつで、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症と同じく、脳の神経細胞がダメージを受けて少なくなることで発症します。
【代表的な症状】
○毎日決まったコースを散歩したり、同じ時間に同じことをしたりするようになる。
○社会的な常識や礼儀がなくなり、自分勝手な行動、ときに反社会的な行動をするようになる。
○注意力が散漫になり、ひとつのことが継続できないようになる。
○食べる量が増え、濃い味のものや甘いものを好むようになる。
○自分や周りのことに無関心になり、自発性が低下する。
○言葉の意味がわからなくなったり、顔を見ても誰だかわからなくなったりする。
正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)
人間の頭がい骨と脳の間は、クッションの役割をする髄液(ずいえき)という液体で満たされています。髄液は常に新しいものがつくられて、古いものが吸収される仕組みになっており、両者のバランスによって脳内の圧力は一定に保たれています。正常圧水頭症は、何らかの原因で吸収量が少なくなり髄液がたまってしまう病気です。シャント手術※を行えば、症状の改善が図られます。
※頭や腰椎からお腹に細いチューブを通し、溜まってしまった髄液を流す手術。
正常圧水頭症には、くも膜下出血などの病気に続いて起きる「続発性正常圧水頭症」とはっきりした原因のない「特発性正常圧水頭症」の2種類があります。このうち高齢者がなりやすいのは特発性正常圧水頭症です。
【代表的な症状】
○歩幅が小さく、すり足で、がに股歩きになる。
○歩行が遅く、不安定になる。
○考えるスピードや集中力・注意力が低下する。
○重度になると記憶障害が生じる。
○頻尿や尿失禁がみられるようになる。
甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
甲状腺は、のどぼとけの下にある臓器で新陳代謝を活発にするホルモンを分泌しています。甲状腺機能低下症では、分泌されるホルモンの量が少なくなることで新陳代謝が低下します。新陳代謝の低下に伴って、認知機能にもさまざまな障害が現れますが、薬による治療を行うことで徐々に症状は改善します。
【代表的な症状】
○強い疲労感を感じるようになる。
○寒がりになり、体重が増加する。
○記憶力が低下し、言葉が出てこなくなる。
○注意力や集中力が低下する。
ビタミン欠乏症
ビタミンのなかでも、ビタミンB群に属するビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が不足すると、認知機能に障害が起きるといわれています。ビタミンB群は主に魚や肉類に多く含まれるので、ベジタリアンの場合には注意が必要です。
外傷
頭を強く打つなどして脳が傷ついたり、頭のなかに血腫(血のかたまり)ができたりすると、それによって神経細胞が障害され、認知機能障害が現れることがあります。
監修 東京大学大学院医学系研究科
老年病学 教授
小川 純人 先生
この記事は2021年11月現在の情報となります。