認知症の種類

MCI(軽度認知障害)

認知症にはいくつかの種類があります。
MCI(軽度認知障害)は、認知症になる手前の状態。早期に発見し対策することが重要です。

MCIとは?

MCI(mild cognitive impairment)は日本語では軽度認知障害といい、認知症になる手前の状態であって、MCIは認知症の種類のひとつではありません。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症をはじめとした認知症の多くは、このMCIという段階を経ると考えられており、厚生労働省の報告によれば、65歳以上の高齢者の13%、400万人がMCIであると推計されています。

MCIを判断する基準は?

MCIかどうかを判断するには、次のような基準を用いるのが一般的です。

〇本人または家族や介護者から「もの忘れ」など認知機能の低下があると訴えがある。
〇日常生活動作(移動や食事、排泄、入浴など)は以前より要領が悪くなったとしてもひとりでできる。
〇全般的な認知機能は正常である。
〇年相応ではない記憶力の低下がみられる。
〇認知症の診断を受けていない。

これに対し、最近では、MCIを4つのサブタイプに分類し、より細かく診断する方法が登場しています。この分類では、まず記憶障害があるかどうかでMCIを大きく2つに分けます。記憶障害があるタイプは「健忘型軽度認知障害(健忘型MCI)」と、記憶障害のないタイプは「非健忘型軽度認知障害(非健忘型MCI)」と呼ばれます。そして、それぞれを「認知機能の障害が1つか2つ以上か」で分け、計4つに分類するのです。サブタイプに分類することで、これまでの基準ではみつけにくかった非健忘型のMCIをみつけられるようになり、それぞれのタイプに応じた対策が可能になると考えられています。

早期発見の重要性

MCIは、認知症になるかどうかの分岐点です。「日常生活に支障がないから」と何の対策もせずに放置すると、1年間で5〜15%の人が認知症に移行する(コンバージョン)といわれています。反対に、MCIのタイプや原因を調べ、早期にそれぞれに合った対策を行えば、認知機能が低下するスピードを抑えたり、障害された認知機能をある程度改善したりすることができます。MCIの原因が脳血管疾患や正常圧水頭症などの場合には、早期治療によって認知症の発症を完全に防ぐことも可能です。認知症の予防には「できるだけ早くMCIに気づくこと」が何より大切です。

MCIに現れやすい症状

MCIを発見するには、ちょっとした認知機能の変化を見逃さないようにすることが大切です。MCIにはタイプ別に現れやすい症状があるので、気になる人はチェックしてみましょう。どれかひとつでも当てはまる場合には、MCIの可能性があります。

○健忘型MCI

「ものを置いた場所を忘れる」「同じことを何度もいったり、聞いたりする」「朝食を食べたことや外出したこと自体を忘れる」「大切な約束を忘れてしまう」「日常的な作業はできるが、難しい作業が苦手になる」など

○非健忘型MCI

「浅い眠りのときに叫んだり暴れたりする」「そこにはないものがみえる」「注意力が散漫になり、集中力が低下する」「物事が計画的に実行できないようになる」「無関心になり自発性が低下する」「自己中心的になる」など

監修 東京大学大学院医学系研究科
   老年病学 教授
   小川 純人 先生

この記事は2021年11月現在の情報となります。

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