療養生活を支える制度
がん治療を受けながら生活する際に役立つ受給制度があります。
雇用保険の基本手当
がんになっても生活は続く
日本人の2人に1人ががんを経験するといわれて久しいですが、やはり「がん」と診断されると大きなショックを受けます。治療に専念しなくては! と、なかにはすぐに会社を辞めてしまう人がいますが、現在は、有給休暇や傷病休暇などの制度を利用し仕事を続けながらがん治療を行っている人がたくさんいます。がんとなってからも生活は続きます。仕事を辞めるなどの決断を急がないようにしてください。
体調に合わせた働き方ができないか、所属する部署の上司や人事担当者に相談してみましょう。そこで解決できないことは、がん相談支援センターなどで相談することも可能です。
また、病院によっては、がん患者さんに対する就労支援を行っているところもあります。医師や看護師、医療ソーシャルワーカーに聞いてみましょう。
雇用保険の基本手当
がんになったことを機に会社を辞めた場合は、雇用保険制度を利用することができます。雇用保険の基本手当は失業保険という呼び名のほうが、耳に親しいかもしれません。
治療などのため離職したものの再就職を考えている人は、雇用保険による基本手当を申請し、受理されれば一定額が最長1年間支給されます。
金額は、年齢、勤続年数、離職前の会社で受け取っていた給与などによって決まります。
雇用保険の基本手当を受けられる対象となる人は、「雇用保険の被保険者で、離職前の2年間に被保険者期間が12カ月以上あった人」「就職する意志があり、そのための就職活動をしている人」となっています。
申請はお住いの地域のハローワークで行います。
長期療養者就職支援事業
長期療養が必要で、いったん離職した患者さんの再就職を支援するために、ハローワークには就職支援ナビゲーターという専門の相談員がいます。
また、全国にあるがん診療連携拠点病院と地域のハローワークでは協定を結び、患者さんの就職支援にあたっています。
病院内の相談支援センターに就職支援ナビゲーターが出向き、相談を受けているところもあります。
現状では、企業側の理解が十分とはいえない部分もありますが、その点についても就職支援ナビゲーターは企業を訪問し理解の普及に努めています。
監修 神戸大学医学部附属病院
腫瘍・血液内科 教授
腫瘍センター センター長
南 博信 先生
この記事は2021年11月現在の情報となります。